水芭蕉は群馬県利根郡川場村にある、永井酒造株式会社で製造された日本酒のブランドの1つです。
谷川岳を作っている蔵元と言えばわかりやすいでしょうか。
この記事では宅飲みではちょっと珍しい日本酒を飲んでみたい方におすすめの、水芭蕉について詳しく説明していきます。
水芭蕉とは?
水芭蕉は永井酒造株式会社が平成4年に品質にこだわった主軸ブランドとして立ち上げられました。
日本の大自然を表現した美しい日本酒を守り抜くことも大切ですが、永井酒造株式会社では「世界に通用する日本酒を造りたい」と考えたのです。
味の追求のためフランス・シャンパーニュ地方に足を運び、ブドウと同じことを米で行おうと決めました。
従来の固定概念にとらわれず、シャンパーニュ地方の伝統製法により作られたのが2008年に発売された発泡性清酒「MIZUBASHO PURE」です。
これをSparkling Sakeと位置付け、従来のブランド酒(水芭蕉や谷川岳)をStill Sakeとし世界に発信しました。
また2013年には古酒とは違う、-2度のセラーで10年以上かけて作ったVintage sakeを新しくリリースしたのです。
伝統を守りつつ新しい味を常に追求する姿勢は「ナガイスタイル」と呼ばれ日本酒の新しい可能性を切り開き続けています。
水芭蕉で宅飲みにおすすめなのはどれ?
水芭蕉に永井酒造株式会社が込めた想いをご理解いただいたところで、次は宅飲みで美味しく飲める水芭蕉を3つご紹介します。
水芭蕉 MIZUBASHO PURE
日本酒度 | +10~+12 |
原料米 | 兵庫県三木市 三木・別所地区産 山田錦 |
アルコール分 | 13% |
日本酒好きの方なら、永井酒造株式会社の日本酒の中では谷川岳の純米吟醸(日本酒度+3、酸度1.5)を定番の日本酒として飲み続けてきた方は多いのではないでしょうか。
なぜなら谷川岳は宅飲み初心者でも飲みやすいニュートラルな味わいでありながら、伝統的な日本酒らしい力強さも感じられるお酒だからです。
しかしこのMIZUBASHO PUREは、永井酒造株式会社の杜氏や蔵人の皆さんがその伝統を大切にしながらも、新しい日本酒の味を開発しようとした気持ちが伝わるお酒です。
MIZUBASHO PUREの開発においては、酵母菌が発酵する際に出す炭酸ガスをスパークリングワインと同様に、滓(おり=不純物)を出さずに封じ込める「瓶内二次発酵」の手法を日本酒に応用する技術を開発しました。
それは滓を除去する方法で特許第4112607号、瓶内二次発酵の技術で特許第4422195号を取得するほどの徹底した長年の研究から生み出されたものです。
夏は発泡性の日本酒がたくさん売り出される季節ですが、その中でもMIZUBASHO PUREは一線を画した繊細できめ細やかな味わいと言えるでしょう。
宅飲みでは4度~8度程度に冷やし、日本酒らしくはありませんが敢えてシャンパンフルートに注いで大人な演出で楽しむのがおすすめです。
水芭蕉 Dessert Sake
日本酒度 | 非公開 |
原料米 | 兵庫県三木市 三木・別所地区産 山田錦 |
アルコール分 | 16% |
Dessert Sakeはデザートと共に楽しめる日本酒というコンセプトで開発されました。
貴醸酒として氷温のセラーで5年以上熟成させて作られています。
通常の日本酒が米100に対して水130を使って作るとすれば、貴醸酒は米100に対して水70と酒60を仕込み水のように使って作るため、それだけでもとても手間や時間をかけて丁寧に作られているのがわかるでしょう。
貴醸酒は濃厚な甘みと適度な酸味を持ち、奥行きの深い味わいが特徴です。
その特徴を活かし、Dessert Sakeを宅飲みではチーズやフォアグラなどのちょっと豪華なおつまみに合わせるのもよいですが、アイスクリームに注いで食べてみるのが特におすすめです。
アイスクリームはバニラ味を選び、Dessert Sakeを少量ずつ注いで味を確かめながら自分の好みの味に調整すると甘い物の好きな方にはたまらない大人のデザートになるでしょう。
水芭蕉 ヴィンテージ VINTAGE
日本酒度 | 非公開 |
原料米 | 兵庫県三木市 三木・別所地区産 山田錦 |
アルコール度数 | 16% |
「米から醸すロマネ・コンテ」をコンセプトに-2度のセラーで10年以上熟成させることで生まれた日本酒です。
古酒のような老香(ひねか=日本酒が熟成した時の劣化臭)はなく、食中酒として魚や肉のメイン料理ともよく合うことから繊細でありながら日本酒の力強さも感じることができます。
温度によって味わいが変わりますが、宅飲み初心者の方はまず食事とともに25度程度の常温で試し、その後自分にあった温度に調整するのがよいでしょう。
宅飲みでは量を飲みたいというよりは、日本酒の味をしっかりと味わいながらゆっくりと楽しみたいという方に特におすすめのお酒です。
まとめ
水芭蕉は永井酒造株式会社が世界に日本酒の良さを伝えたいという強い想いから開発したブランドで、新しい日本酒の味で世界に日本の食文化を伝える役割を果たしていることがわかりました。
食前酒、食中酒、デザートといずれのタイミングにも合う日本酒がちゃんと揃っているため、これほど宅飲みに合う日本酒もないと言えるのではないでしょうか。
今までに飲んだことのない新しい日本酒の味を知りたいという方は、ぜひ宅飲みでさまざまな水芭蕉を楽しんでみてください。
この記事を書いたライター
紫媛(さきひめ)
秋田生まれの日本酒大好きWebライター。
仲間においしい日本酒をすすめたり、行きつけのお店 の日本酒の仕入れの相談にのったりと楽しく日本酒とつきあっている。
最大のライバルは唎酒大会で優勝した父親。
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日本酒アドバイザー 宅飲家(たくのうち)の中の人
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