日本酒度と酸度・アミノ酸度について|日本酒アドバイザーが教えるラベルから好みの日本酒を見つける方法

日本酒度と酸度・アミノ酸度について|日本酒アドバイザーが考える好みの日本酒を見つける方法
日本酒度と酸度・アミノ酸度について|日本酒アドバイザーが考える好みの日本酒を見つける方法
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あなたは日本酒を購入する時に、どんなことを考えていますか?

私は「安くて美味しい日本酒はどれか?」ということをいつも気にしています。

そこで、手に取った日本酒が美味しいかそうでないかを、日本酒のラベルから自分で判断したいと常々思っていました。

ここでは日本酒のラベルに書いてある謎の数字、日本酒度と酸度、アミノ酸度について、当サイト内の他の掲載記事の補足としてまとめています。

利酒師や日本酒アドバイザーとして日々の研究をする中で、日本酒度や酸度、アミノ酸度について改めて調べてみたので、美味しい日本酒を見つける時の参考にしてください。

コスパ第一主義のためのラベル情報

私、お金持ちじゃありませんから、自分でお酒を買うならコスパ第一主義です。

だから、実際に日本酒を買って飲んでみて「うわ、この日本酒、思った味と違うわ」となったら、とてつもなく悲しいです。

試飲コーナーは、コミュ障なので話しかけられない

ですから、日本酒の箱やラベルの雰囲気、お店の店頭POPなどで味を想像するのが、今までのメインの購入方法でした。

この時点で、コスパがいい買い方とは思えませんね。博打です。

最も目に入りやすい日本酒ラベルの情報から、ある程度の味が予測できれば、それに越したことはありません。

日本酒のラベルを読もう

日本酒のラベルはよく見ると、お酒の銘柄名以外にわけのわからない表示がいくつか書いてあります。

純米酒とか大吟醸とか、特別本醸造酒とかもわけがわかりませんでした

日本酒を勉強しはじめた私は、特に日本酒のラベルが気になりました。
日本酒を学ぶと、このラベルの見方はテキスト序盤で出てくる最初の重要項目です。

以前からこのラベルの隅っこにある数字が気になっていたんですよね。

謎の数字、日本酒度と酸度・アミノ酸度。

これがわかれば、効率よく自分の好みのお酒を見つけられるのでは?
AIや統計が好きな私には、数値で表示されているものは目安にもってこいだ!

そう考えた私は、利酒師や日本酒アドバイザーの勉強をしながら、この記事をまとめはじめたのです。

早速、日本酒のラベルの謎数字を解説していきます。

日本酒度

まずは、日本酒度。「にほんしゅど」と読みます。

マイナスやらプラスやらがついていて、不思議な数値です。

これが、日本酒が甘口か辛口かという目安になります。

お酒のラベルを見ると、+1とか-2とか書いてあるのを、お酒屋さんで見かけることができます。
これがわかるだけでも、アリオに行きたくなるってもんです。
(アリオ?)

ただ、この数値はあくまで目安!
絶対ではありません。

重要なのは、味覚は人それぞれであるということ。

日本酒の甘口辛口については、世界中に人にとって「これは甘口!」と表現できるかというと、そこまでの絶対性はありません。

一緒に食べているおつまみや料理との相性もありますね。

初めて日本酒度を見た時には、+だと何か日本酒に味を足すものが入っているのかな?くらいの認識でしたけどね。

▽日本酒度の測定方法がこちら
第5巻 品質管理|日本酒図書館|菊正宗~生酛(生もと)で辛口はうまくなる。~

第5巻 品質管理|日本酒図書館|菊正宗~生酛(生もと)で辛口はうまくなる。~
創業万治二年。神戸・灘、清酒「菊正宗」のホームページへようこそ。酒米の最高峰・山田錦が出来上がるまでの一年をご紹介します。

なんと、ここまで細かい測定方法があるとは驚きです。

シリンダーを用いて、特定の温度下にあるお酒に、特性の温度計を入れます。
この温度計は浮秤というもので、釣りの浮きのようにお酒に温度計が浮かばせます。
浮かんだ温度計の水面部分の目盛りを読めば、日本酒度がわかります。

アルコール度数は、100mlのお酒を蒸留する工程を経て、揮発成分として集まったアルコール分に加水して100mlの容量にします。
ここでは、酒精計という浮秤を使います。

日本酒の甘み

宅飲み好き女性のニーズで甘いお酒が好きというのがあります。
※著者独自の統計による:当記事下部に詳細

日本酒にも甘みがあります。
人間が感じる甘みといえば糖分。

日本酒が「糖分をどれだけ含んでいるか」をイメージしやすくするために、砂糖が水の中にどれくらい沈んでいるかを想像してみてください。

沈めば沈むほど日本酒度はマイナス数値で甘いです。

私は「-4」の日本酒度だと、わかりやすく甘みを感じます

みんな大好き月桂冠さんのサイトにも詳しく説明されています。

「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」とは何を表す数値ですか? 甘辛と酒質

日本酒度は、甘口・辛口の目安になるんですね。

比重を考える

日本酒度を考えるには、比重を知る必要があります。
ひとまず学生気分に戻ってみてください。(嫌かもしれないですけど)

密度と違い、比重とはあくまで比率のこと。
比率は、基本になるものがないと比率が出せません。
基本は水を標準とし、水に対して比重が5とか8とか表現します。

比重には単位がないです

もし物質の比重が、水に対して1より大きければ沈みます。

金属、例えば鉄の比重は約7.85のため沈みます。

船は浮かぶ

「船は鉄の塊だけど浮かぶだろ」というツッコミが気になりました。
そんな方は、みんな大好き海上保安庁の浮力をご覧ください。

Microsoft PowerPoint – H250626-記者懇談会豆知識(船の基礎知識)(船舶技術部) .ppt [互換モード] – 25-06-06.pdf

海保に浮力の説明はお任せし、比重の話に戻ります。

比重は比率

比重が1よりも小さいなら、水に浮かびます。

水と比べた時に比率がどれくらいなのか?

水が全体の80%とも言われる日本酒が、その内部に糖分を多く含むと、比重が大きいということになります。

比重が大きければ、日本酒度はマイナスです。

糖分がお酒の下部に沈んでいくイメージです。

沈めば沈むほど甘い。日本酒度はマイナスなら甘口です。

日本酒度がマイナスになっていれば、甘口に感じる人が多いだろうということです。

日本酒度からわかる味わいの表現

地酒蔵元会さんに味のタイプ別の表現が詳しく載っていました。

日本酒 甘口辛口特集|日本酒の楽しみ方特集|地酒蔵元会
全国の地酒(日本酒)蔵元を応援する「地酒蔵元会」です。蔵元の歴史や地酒(日本酒)へのこだわりを伝える取材紀行、地酒(日本酒)に合う料理や雑学など、魅力をたっぷりとご紹介。全国の蔵元、地酒(日本酒)の銘柄検索も可能です。

濃醇(のうじゅん)な味わいなどというのは、日本酒の旨味がしっかり感じられてコクがあるもののこと。
濃醇甘口であれば、日本酒度がマイナスのものです。

淡麗辛口という言葉がありますが、淡麗は口当たりがスッキリサッパリしていて、味にクセがない(少ない)ことを指します。
糖度が低いんですね。
日本酒度がプラスのものです。

甘口辛口は、極端な日本酒度のものを飲み比べるとわかりやすいのですが、微妙な数値差のものだと、酸度などの関係で、味の違いがわかりにくくなってきます。

お酒屋さんの店頭には、おすすめのお酒にその理由などが書かれていたりするので、味の表現からも、好みの手がかりを探すことができます。

しかし、ここではあくまで日本酒のラベルに載っている数値だけで、ある程度まで味わいを判断することが目的です。

日本酒の味わいの差をどう活用するか

しかし、日本酒の味わいの差がわかっても、何に活かすかという話です。

わかりやすいのがお酒に合わせる料理。

お酒に合うおつまみの検索需要が多いのも、美味しくお酒や料理を楽しみたいという需要を感じます

濃醇甘口であれば、濃い味の料理にも負けない味わいです。
料理の甘みに日本酒の辛口がぶつかると、統計上、美味しいと感じる人が減る傾向があるようです。

淡麗辛口であれば、クセがなく飲みやすいので、薄味傾向の料理でも、本来の味を楽しめます。
お刺身や湯豆腐と合う等と紹介されてるのを、ネットでもよく目にしますし、私もそう思います。

しかし、濃醇のお酒が濃い味に合うといっても、私は塩辛については味が濃いものという位置づけですが、淡麗タイプの日本酒が合うように感じます。

また濃醇・淡麗・甘口・辛口の組み合わせを、時間経過と共に飲み変えるのも手だと思います。

濃い味の料理に口が飽きてくる前に、淡麗タイプの日本酒で口をリセットするやり方は、個人的に好みの飲み方になります。

さらに酸度についてです。

日本酒の酸度

日本酒に含まれる酸の量が数値になっています。

日本酒の製造過程では、乳酸菌の働きも大事です。

そのため乳酸やその他にリンゴ酸やコハク酸も、この酸度に含まれます。

酸度が高いと濃醇・低いと淡麗。

これもあくまで目安!飲み比べが大事!

日本酒の旨味・アミノ酸度

酸度とは似ていて意味がやや違う表示があります。

それがアミノ酸度。

▽ちなみにアミノ酸度の測定方法はこちら。
測定方法番号 7|国税庁

測定方法番号 7|国税庁

清酒というのが日本酒のことですね。

お酒の旨味を作るのがアミノ酸です。

アミノ酸度が高いと濃醇・低いと淡麗。

平均的な清酒のアミノ酸は1.0から2.0だそうですから、適当にランダムに日本酒を選んでも、この値に収まるはずです。


実際にランダムに選んでみました。

平均2.0までの中でも、「庵」はアミノ酸度高めかな。
説明文に濃厚な口当たりで、香りも高いとあり、辛めな味わいなのでしょう。
※買ってみます


ワインと比べて、日本酒は旨味成分のアミノ酸を多く含みます。というのは、お酒の勉強をしているとよく目にすることでもあります。

もっと極端に表現すると、酸度関連が高い数値の日本酒だと、独特のクセがあって飲みにくいと感じるかもしれません。

特に日本酒を飲んでみて「日本酒は苦手だ」と思ってしまった方は、よくどんな銘柄を飲んだか思い出してみてください。

極端な味わいのものだけを最初に飲んでしまうなど、日本酒の飲み方がわからない時の経験が、「日本酒が苦手」という人を生み出す傾向があるのです。

そもそも日本酒はその長い歴史からも、日本の風土・料理に合うお酒なのですから、お酒自体が嫌いという人でない限りは、日本人は日本酒好きになれる確率が高いはずです。

好みの味に出会う前に苦手意識を持ったという状況は、実にお酒生活にもったいないと思うのです。

私が酒学を学ばせていただいた先生も、もともと日本酒は苦手だったけど、利酒師さんに飲み方を習ったことで、一気に日本酒が好きになったんだって

飲み比べてみよう

さて、ここで極端な味のお酒を探してみようというのは、道理ですよね。

甘口・辛口のどちらが好きかという傾向から、徐々に好みのお酒を絞り込んでいけばいいわけです。

ところが、ネットショップだと、日本酒度や酸度・アミノ酸度についての表記があったりなかったり。

お買い物の際に、お酒屋さんに寄ったら、ちょっとラベルを見てみてくださいね!


※この記事での統計とは著者が「お酒」関連のキーワードで検索結果を3000ページほど分析した結果による


この記事を書いたライター 記事編集

日本酒アドバイザー の中の人


top image Photo by ???? ?????? on Unsplash

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